【企】あんたなんて大ッキライ!!
大ッキライ
朝、憂鬱な気分で教室に入る
このクラスには井川なんて厄介なヤツがいるんだから。
「おはよー!桃子!!」
教室に入ると同時に渚が駆け寄ってきた。
「おはよ、渚」
「ね、桃子
あそこにいるのが井川くんだよ!」
あたしがイスに座ると渚は教室の隅で女子に囲まれている井川を指した。
「うん、知ってる」
そう答えたあと、溜め息が溢れた。
イヤなくらい、知ってるよ
「え?!なんで?!
昨日まで知らなかったじゃん」
渚はあたしの席の机に手を置く。
「まあ…いろいろ、ね」
言えないよ、絶対。
井川に初めて会った日にキスされた、なんて。
横目で井川を見る。
女の子たちはみんな、目を輝かせているのに対し
井川は冷めた目で上のほうを見ている。
あの目…あたし、見たことなかった。
昨日はずっと笑ってたのに。
「ね、井川ってホントにクールなの?」
まだあたしの席にいる渚に聞く
「そうだよ
ほら、あの目見て?
いかにも冷たそうじゃん
まあみんなはその冷たさがいいらしいけどね」
少なくとも昨日の井川は冷たくなかった。
あれは…裏の顔?
本物の井川はどっち…??