コスプレ★マニア
そこに“伊藤リク”という名前を見つ
けた。
伊藤ってさっきの伊藤だったり?
先ほどぶつかってきた男の残像が頭に
浮かび、私はそれを掻き消すように首
を振る。
伊藤なんて名前よく有るんだし、そん
な訳ないよね。
てか、本人だったら焦るしッ。
一通り名前を見てみて、プリントを閉
じると、通称スネママ先生(名前不明)
の長い説明は終わった。
「10分後に体育館であなた達の紹介が
行われるから遅れないようにね。
特に、桜井先生は!」
桜井先生かァ。いい響き…。
「聞いてるの!?」
「ハイ!」
勢いで立ち上がると、スネママ先生は
ヒールの音を響かせながら出ていった。
「ふぃー」
机にうなだれる私をクスクス笑いなが
ら見下ろしてくるマヤと小太郎。
「小太郎可愛いー」
私が小太郎の頭を撫でようとすると、
それをマヤに征された。
「あたしの小太郎に触んないで」
.