いつも笑わせてくれる貴族
私はベッドに寝転んだ。
その瞬間、昨日壁に背中をぶつけた時の痛みが走った。
「いた…」
ゆっくり起き上がった。
「どしたん?」
「え……あぁ、なんでもないです」
「ほんまになんかあったら言えよ?むっちゃ心配やねん!」
ほんまですか?
「ファンの中でゆかりちゃんとかは特別やで」
石田さんは、すごいいい笑顔で言った。
心臓に負傷が出ますわ。
私は石田さんの手を握った。
石田さんはすごくビックリした様子やったけど、私は気にせんかった。
「もーゆかりちゃんどしたんや(笑)」
石田さんはにっこり笑って照れくさそうやった。
「こうしてるだけで落ち着くんです」
「一生握ってていいで!」
「…………えぇ?」
「ゆかりちゃんが落ち着くんやったら俺は隣でニコニコしてるわ」
なんというお言葉。
石田さん優しすぎますって。
「でもなんか緊張します…」
沈黙でこんなことしてんの、カレカノみたい。