いつも笑わせてくれる貴族
私はただ呆然と立ち尽くしてた。
あの時、手差し伸べてたら、展開変わったはずやわ…。
「良かった会えて。ほな教室帰ろか」
「…え、あ、うん…」
私は恵美の後についてった。
…芸人さんなんか、初めてやわ。
あぁ、ぶつかったうえに手を触った恵美が羨ましい。
「いやぁ、むっちゃラッキーやったわぁ」
「私はなんもラッキーじゃない…」
机に寝そべる。
そんな姿の私を見て、恵美はぷっと笑う。
「そんなガッカリすることないやん!!元気だしやぁ」
恵美は私の背中を叩く。
めちゃイキイキしてんやん。
っか、そんなのに落ち込んでる私もおかしいけど…。
「ゆかり、いつもより暗いやん」
真帆が話しかけてきた。
「いつものこと!!」
ヘラヘラと調子に乗ってる恵美。
そんな事言われたくないわぁ…。
確かにちょっと浮いてるけど。
「大丈夫か?ゆかり」
ったく真帆もヘラヘラして。
なんやねん。
「なんでか分からんけど落ち込んでんねん」
なんでほんまに落ち込んでるんやろ。
そんなに芸人なんて好きでもないのに。
あり得へん。
自分やない気がする。