唄姫騎士
羽朶は急いで階段を駆け上がる。
慌ただしく部屋に入って窓を一目見ると、ほっと安心して椅子に脚を抱えて座った。
「彼はまだ、来てないよね。」
羽朶は鈴に聞いてみる。
返事を聞いたところで、はいかいいえかなんてわからないけど。
羽朶はじっと待っていた。
広い窓から見える星空、空一面星で輝く空を見上げながら。
羽朶はそのまま、暗い部屋で、しばらくそこを動かなかった。
真夜中の闇が揺れる。
待ちくたびれてそのまま寝てしまっている羽朶、窓の隙間から吹いた柔らかな風が、そっとその髪をとかした。