唄姫騎士
コンコン
コンコン
窓の枠が音を立てている。
星と月の光が作る、
部屋に浮かぶスーツの影絵。
羽朶は、はっと目を覚ました。
「あっ…」
寝てしまったと焦る羽朶に、彼はもう一度窓を叩いた。
それに気付いて、羽朶は慌てて駆け寄った。
窓を、開ける。
「こ、こんばんはっ。」
羽朶は早口に言った。
「こんばんは。」
彼がはにかみ笑顔で言う。
あ、あう…
「あ、あの、えと…」
「お邪魔してもよろしいですか?」
羽朶が言いたかったことを見越したように、彼が笑顔で言った。