唄姫騎士

魔法使いの訪問



星鈴国-セイレイコク-。


住所は上空です。




「今日はどんな唄を歌いましょ?」


羽朶は肩に乗せた鈴に話しかける。




ぴっと鳴く鈴は首を振りながら、嬉しさを表現して。




空は青いですから。


羽朶は窓を開けたままで、部屋の真ん中に置かれたテーブルの椅子に腰掛けた。




窓からは、春の暖かい風が羽朶の柔らかい髪を揺らし、また窓を通って外へ抜けていく。


羽朶はそっと目を閉じた。




〜鈴色の鳥

染まるくらい青色の空は

春…




「春…、?」


羽朶は唄がつっかえて、目を開けて天井を仰ぎ見た。




「鈴…。」


肩の鈴を見た羽朶は、淋しそうに微笑んでいた。




まだ唄えない。





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