Februaryの奇跡
「さっちゃん」
横から聞こえた、優しい声。
急いで振り向くと、ゴミ箱の隣に立つ、茅くんがいた。
「ち、がや、くん…?」
びっくりして、
言葉を上手く発せられなかった。
「なん、で?」
「ん?
今日は早くバイト終わったんだよ」
そう言いながら、茅くんはあたしに近付く。
「さっちゃんは、俺に何か用?」
背の高い茅くんに見下ろされながら、問いかけられた。
「あ…えっと…」
あたしは上手く、説明することができなくて。
あたふたしていると、聞こえた声。
「俺は、さっちゃんを待ってた」
「え?」