Februaryの奇跡
あたしは、ふるふると手を左右に振ってごまかした。
「三宅、いるかな?」
「三宅さん、ですか?」
三宅さんとは、この店1番のカリスマ店員。
23歳なのに、その腕のすごさは、店長も驚くほどだ。
国家試験も、一発合格だったと聞いた。
「少々お待ち下さい」
あたしは三島さんに頭を下げると、カットをしている三宅さんの元へと向かった。
「三宅さんっ。
お客様が、呼んでるんですけど…」
「ん? 俺を?」
三宅さんは、不思議に思いながらも、
カットしていたお客さんに声をかけると、入口へと向かった。
あたしも、三宅さんの後を追う。