ほしいのはあなただけ
~第1章~

はじまり

時は中3の春。

今日は春休み明け初の登校日。

とりわけ今日から3年生。

&クラス替え。

私、藤波柚子は、気合いを入れて家を出た。

ピーンポーンっ

隣んちの家のインターホンを鳴らす。

ガチャッ

「…はい?」

おばさんの声が機械ごしに聞こえる。

『あ、柚子ですっ!おばさん、隼人はぁ?』

いつも通りの台詞。

「柚子ちゃんゴメんねぇ。隼人、今日遅れそう!」

『え、初日なのにぃ?』

初日から寝坊なんて、ほんとバカ。

「ゴメんね。先行ってもらえる?」

申し訳なさそうなおばさんの声。

別におばさんは悪くないのに…。

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