ほしいのはあなただけ
『いーえ、いーえ!ではっお先に!』
ため息まじりで、隼人んちを通りこした。
次は隼人んちの隣の隣んち。
着くと、もう玄関に人が座っていた。
『あ、望っ』
広瀬望。
私の幼なじみ。
「柚子、おはよぉ!さすがに初日だから準備早めたよッ!」
と、ピースしてくる暑苦しい奴。
『あっそ』
そっけなく返してやった。
「あれ。隼人はぁ?」
やっっと気づいたらしく、顔をきょとんとさせた。
『遅れるってぇ!寝坊じゃないっ?』
「マジかよ~!初日からぁ?アホだなぁ!」
アホな望からアホって言われる隼人って…。
隼人が哀れに思うよ。
『はいはい。じゃ、もう行くよっ!』