ほしいのはあなただけ
もうなんて大人な人なんだ。
でもそんな彼、恋愛経験ゼロなんです。
清くんの恋バナ…なんて聞いたことない!
まぁ、そんなこと流れたら、女子の中で大クレームが起こるでしょう。
『朱莉、良かったじゃん♪』
「うんっ!超幸せだよぉ」
ほんとに幸せそうに笑う朱莉。
恋する乙女のパワーってすごいと思う。
私には分かる。
「…で、柚子はどぉなのっ!?」
突然目の色を変え、私を見回す朱莉。
ギクッと肩が動いたが、
『え?何がぁ?』
と、とぼけてみせた。
「何がじゃなぁいっ!隼人とっ!何か進展あったぁ?」
楽しそうな顔で私を見つめる。
『う…っ。べっ、別にっ!』
フイッと視線をそらした。
「柚子っ!こっち見てっ!」
朱莉は頑張って私の視線に入ろうと動いている。
『あ~!もぉ。言うよぉっ』
ほんと、愛に生きる朱莉には参るよ。
…そんなこんなで、学校へ着いた。
さてさて、クラス替えはいかに。