ほしいのはあなただけ
ロングヘアーの髪に赤と白のチェックのカチューシャをしている。
制服は、まだないのか、ここのとは違うブレザーを着ている。
中のカーディガンはクリーム色。
彼女のふわっとした顔に合う色だ。
いかにも“乙女”ってかんじの子…。
教室がざわめき響く。
その子は先生の隣に立ち、やや緊張ぎみに顔を上げた。
「愛堂、自己紹介して」
浩サンがその子にそう言う。
愛堂と呼ばれた彼女は、チョークを持ち、黒板に字を書く。
まん丸の、いかにも彼女っぽい字形。
「愛堂聖良です!」
“愛堂聖良”。
黒板には、堂々とそう書いてある。
なんて可愛らしい字、名前!
「よろしくですっ」
そして、声!