ほしいのはあなただけ

ロングヘアーの髪に赤と白のチェックのカチューシャをしている。

制服は、まだないのか、ここのとは違うブレザーを着ている。

中のカーディガンはクリーム色。

彼女のふわっとした顔に合う色だ。

いかにも“乙女”ってかんじの子…。

教室がざわめき響く。

その子は先生の隣に立ち、やや緊張ぎみに顔を上げた。

「愛堂、自己紹介して」

浩サンがその子にそう言う。

愛堂と呼ばれた彼女は、チョークを持ち、黒板に字を書く。

まん丸の、いかにも彼女っぽい字形。

「愛堂聖良です!」

“愛堂聖良”。

黒板には、堂々とそう書いてある。

なんて可愛らしい字、名前!

「よろしくですっ」

そして、声!

< 22 / 23 >

この作品をシェア

pagetop