天使のララバイ
“美憂ちん”
またその呼び方をされたことに一瞬反応してしまいそうになったが、アキの罠だと言うことに気づき、黙ったまま壁を見つめた。
「起きてるなら返事しようよー」
天使が少しずつ近づいてくるのが気配でわかる。
もう一緒か…
「起きてる。
だから何?」
あたしは見つめていた壁から目を離し、アキの方に振り向いた。
もうどうにでもなればいい。
「やっぱり起きてた」
天使はそう言って目を細めて笑った。
「美憂さぁ、寝れてないんでしょ。
今日だけじゃなくて昨日も…多分一昨日もずっと前も」
やっぱりクマで気付いてたのか…。
「…だから?」
「子守唄を歌ってあげようと思って」