天使のララバイ


天使の力…ね。


アキに借りを作るのはあまり望ましくないけれど、この睡眠不足をなんとかしてくれるなら嬉しい限りだ。


だけど…


「なんで子守唄が必要なわけ?」

天使の力とやらは魔法みたいに呪文をかける、とかじゃないの?


もっとも、童話でしかそんな話は聞いたことがないから本当のところはよくわからないけれど。


「子守唄は別に要らないんだけどね。

歌った方が気分出ていいと思って!」


「…寝れさえすれば別に気分出なくていいよ」


「僕が嫌なの!
じゃなきゃ寝られるようにしてあげなーい」

ふん、とそっぽを向いたアキは駄々をこねる子供のようだ。


「はいはい。
じゃあ歌えばいいよ」


寝られるなら途中で意識が遠退くはずだ。


この際、寝れさえすれば他はどうでもいいということにしよう。




< 30 / 51 >

この作品をシェア

pagetop