天使のララバイ
強がり
「おはよー。
朝ごはん作っといたよー」
朝目覚めて、リビングに行けばアキがキッチンに立っていた。
そこにあるものは、
チョコではない茶色いものが乗っている得体の知れない食パン。
「…いらない」
きっとあれがアキのいう天使の世界の料理だ。
名前だけでも衝撃的で無理なのに、見た目もあれじゃ食欲が一気に失せる。
「なんでー」
「見た目悪すぎ」
「味は美味しいから大丈夫。
ほら座って!」
あたしが椅子に座ったのを確認して、天使はダイニングテーブルに椎茸食パンを運んでくる。
その料理とはいえないモノがあたしの横を通ったとき、思わず鼻をつまんで顔をしかめてしまう。
「臭い…」
この世のものとは思えないにおいが鼻を掠めた。
一体何を入れたんだ。
「…あたしもう学校行くわ」
一度は座った椅子から腰をあげ、あたしはアキに言った。
「えぇっ!?
食べてくれないの?」
アキは悲しそうな顔であたしを見つめるが、そんなので流されてしまうほどあたしは優しくない。
「うん、無理」
そうきっぱり言い放って自室へと向かう。
学校へ行く途中にコンビニによろうか。
…食べる場所ないか。
仕方ない、朝は我慢しよう。