天使のララバイ



鞄を持って部屋を出たら、アキはひとりで寂しそうに朝食を食べていた。


さすがのあたしでもその光景は少し申し訳なく思う。
昨日眠れたのは、結局アキのおかげだし…



まあ、食べるのは無理だけど。


「…なんか保護者になった気分かも」


そう呟いてあたしはダイニングテーブルで食べているアキの正面に座った。


それと同時にアキの顔がぱあっと明るくなる。



「食べないけどね」

期待を裏切るあたしの言葉にアキの顔はまた少し暗くなる。


「これが限界よ」


「…ひとりで食べるよりはいっか」

アキは小さく笑って椎茸食パンをまた口に入れた。




「ねぇ」


「ん?」


「天使ってこの世界にどれくらいいるの?」



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