天使のララバイ
「はぁ」
昼休み、いつものように社会科資料室で3人プラスアキでお弁当を食べている中、あたしはまたため息をついた。
ここまでついてくるなんて。
「何そんなため息ばっかりついて」
隣の心菜がそう聞いてきた。
「ちょっとね」
「ふーん」
心菜は何事もなかったようにまたお弁当を食べ始めた。
こういうところ。
あたしが心菜や拓斗といる理由なんだと思う。
人には聞いて欲しいことと、聞いて欲しくないことがある。
高校生っていうのは、その全てを聞きたいっていうのが普通らしい。
そんな友情の安売りは望んでないから、心菜や拓斗のようにお互いに深入りしないような関係は凄く楽だ。
だからあたしも、心菜や拓斗が何故自分を作っているのかは、まったくわからない。
きっと何かしら理由はあるのだと思うけど、それを無理して知りたいとは思わなかった。
「ねぇ」
ほこりが積もった黒板をぼんやりと眺めながらあたしは口を開く。