天使のララバイ
『なに?』
ふたりは声を合わせて返事をした。
「…なんでもない。」
天使がいるかどうかなんて、聞くだけ無駄だ。
きっとふたりは「いるわけない」と言うだろうし、
天使は実際ここに存在しているのだ。
「まぁ元気出せよ」
「あ、珍し。
裏の拓斗が励ましの言葉かけるなんて」
心菜はふっと鼻で笑う。
「美憂が俺らに質問しようとするなんて珍しいだろ」
「そうだね。
まぁ頑張りな」
心菜はそう言ってあたしの肩を叩いて立ち上がる。
その顔はもう、表向きの顔。
もう昼休みも終わりということを示している。
「はぁ」
あたしはもうひとつため息をついて立ち上がった。