天使のララバイ


…だけど『天使』そのものが存在するとは到底思えない。



「おーい!
どこにトリップしてんの?」


「…っ、別に」


いけない、こういう不審者の前で隙を見せちゃいけないんだった。



あっという間に鍵を奪われて中に連れ込まれるかもしれないのに。


…鍵?


そうだ、鍵。



「あんたさ、天使っていうならドアの鍵、開けて見せてよ。
いい加減、寒いのよね。


だから、開けられたら天使だって信じていれてあげる。
開けられないならおとなしくどけて頂戴」


じゃないと警察呼ぶわよ。
と付け加えて。



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