それでも私は恋してる



「体力ねえな(笑)」

「もうっ…」



私は馬鹿にしたような言い方にまた膨れた。



「膨れてんな…」

「幸教が悪い…」

「はいはい」



そう言うと先生は私を後ろから抱きしめた。

それだけで先生を十分許せてしまうのが

私の悪いところなんだろうか?



「そろそろ仕事しなくちゃな…お前はどうする?」



そう言った顔には



“帰るな”



って書いてあるような気がして



「終わるまでいる」



そう言って先生のシャツを掴んだ。

先生はやっぱり帰って欲しくなかったらしくて



「良し…」



と言って私の頭をポンと叩いた。



「相手してやれないけど自由にしてて」

「うん」



それから先生は自分の世界に入ってしまい

私は1人で暇を潰していた。



それにしても

なんで教材室には人がこないんだろ?

数学の先生は他にもいるのに

ここには先生以外の荷物はない。

全く不思議なものだ…




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