それでも私は恋してる



「帰るか」



そう言って先生が顔を上げたころには

時刻は7時を過ぎていた。



「お前も帰る準備しろ」

「は~い!」



私はとりあえずカバンを持って席を立つ。



「俺の車んとこで待ってろ。いつもの場所だから」

「うん」



私はそう言って教材室から出て行った。



「こんな時間まで大丈夫かな?」



ふと思ったことだった。

やっぱり先生と生徒バレたらまずい。

そしてそこで出てきたのは雅也の顔。

雅也は私のことあきらめてないみたいだし

いつ先生と私を脅すかもわからない。

そう考えると一気に不安が生まれた。



「私ったら余計なことばかり…」



考えなければいいのに考えてしまう。

心配性なところが私の良いとこでもあり悪いところなんだ。



「お待たせ」

「うん」



先生は車の鍵を開け助手席のドアを開けてくれた。

私は何も言わずに車に乗りこむ。





< 105 / 119 >

この作品をシェア

pagetop