それでも私は恋してる
そして私たちは手を繋いだままエレベーターに乗り11階にたどり着いた。
「俺の部屋来るか?」
先生は静かに聞く。
さっきと同じで顔には
“来いよ”
ってちゃんと書いてあって。
私は静かに頷いた。
「何食べる?」
「何でも(笑)」
普通は私が作るべきなんだろうけど
先生に自分の料理を食べてもらう勇気はなかった。
そして先生の部屋に着き手が離れる。
我慢だ私。
「どうぞ」
いつものように先生がドアを開けて私が入る。
「おじゃましまーす」
昨日と変わらない白黒の部屋。
部屋は先生の匂いでいっぱいだ。
「適当に座ってて」
「うん」
私はソファーに座り先生を待った。
先生がいないリビングはなかなか落ち着かない。
自分の部屋じゃないせいだけじゃない
先生の匂いが私をドキドキさせるんだ。
これに慣れる日はいつか来るのかな?
「シチューでいい?」
「うん!」
先生の言葉に大喜び。
私はシチューが大好きだから。
シチューでこんなに喜んでいる私を見て
先生は少し笑った気がした。
「私も何か手伝おうか?」
やっぱり作ってもらうだけは嫌なので
私はそう言って立ち上がる。