それでも私は恋してる



「先生…」



黙っていた口が突然開く。



「何?」



俺は手当てをしながら聞き返す。



「大丈夫ですか?」



・・・・・・・・・・・・・



「何が?」



主語はないのか主語;

さすがに通じないから(笑)



「手当てとか…」



はぁ?



「何?俺が手当てもできないような男に見えるわけ?」



ちょっと上から目線で言ってみると



「滅相もございません…」



こんな返事が返ってくるものだから




クスクス




俺は思わず笑ってしまった。



「なっ何で笑うんですか!」

「いつもの神崎と違うなと思ってさ(笑)」

「いつもの?」



いつもは静かでこんなに話しをするイメージはない。

こんな意外な一面が見られるなんて俺はついてる。



「いつもはさ控えめだろ?でも今日は強気な感じでさなんか可愛い(笑)」



俺が可愛いなんて言ったのはどれぐらいぶりだろう

少なくとも生徒に言ったことなんて一度もない。



俺は顔を覗きこむ。





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