マワルとソラ
目が覚めると、授業はとっくに終わっていた。

クラスの人達は、それぞれが思い思いの行動を取っていた。

友達同士で喋る者、学食に行く者、教科書を借りに行こうととしている者。

実に様々だった。

廻の通う高校は、一応県下で一番の進学校で進学への「意識の高さ」は異常だった。

廻以外に授業中に居眠りする者などいないのである。

そんな環境だから教育熱心な先生方も居眠りをする生徒への対処の仕方がわからないのだろうか、廻の居眠りを注意するものなどいなかったのだ。

そんな廻がこの高校を選んだのは、単純に成績が良かった。というのが一番の理由である。

中学でも授業中は居眠りしていることが多かったが、塾にも通っていたのでどちらかで授業を聞ければそれで覚えることができた。記憶力が抜群に優れている。それが廻の強みだった。でも名前を覚えるのはだけは何故か苦手だった。人に対する関心が欠落してるのだろうか。

まあそれはともかく後は、教師に勧められるがまま、流されて今に至るのだ。

起きたばかりで半開きの目で横の席を見てみると、ケイコがipodで音楽を聴きながら何やら難しそうな本を読んでいた。

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