オレンジ色に染まる
夕暮れ時に、君の隣で。

変わりやすい年頃……って、そうなのかもしれないけどさ。

あたしはケータイを片手に、ちらちらとはす向かいに座るひとを伺っていた。


午後4時半の下り列車。わりとすいてる車内でまさか、知り合いに会う、なんて予想外。

髪色がちょっと明るくなって、前とは違う制服姿だけど、きっと、あいつは谷野だろう。

中学時代、唯一仲のよかった男子。


普段はもっと遅い時間の電車に乗るせいか、同じ駅を使っているのに偶然に会うこともなく、見かけるのも約2年振り。

おかげで信じられなくて、声を掛けるのもはばかられ、ただこっそりと、様子を伺っていただけ。


ちょっと怪しくないかって?

……気のせいさ。

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