オレンジ色に染まる
“何でそんなコト言うのさ”
可愛いとか、あたし言われ慣れてないからね?
……何も。
変わってない。
谷野があたしをからかって、あたしは答えに迷って戸惑って、その様子を見てあいつが可笑しげに笑って。
変わってないんだ。
だからこれだって、きっと冗談。
だってほら、向こうの席で、“予想通りの反応だ”とでも言いたげに、あいつは笑っているじゃんか。
『まもなく……駅……』
あたしの思考を遮断するように、車内にアナウンスが流れた。
それと同時に届いたメールに、あたしは思わず動きを止める。
あたしのなかでは、空気までもが止まった気がした。