恋の公倍数(受験生+塾講師)
問題児の私に特別補習をしてくれるまーちゃん。
遅くまで働いてもバイト代が増えるわけじゃないのに。
どうしてそこまで真剣になってくれるんだろう。
世の中捨てたもんじゃない。
大人は汚いって思ってたけど、そうでもない。
「公倍数って小学校で習っただろ?お前はもっと早く俺に出会うべきだったな」
私もそう思う。
もっと早くまーちゃんに会っていれば、もっと頑張って勉強したと思う。
いいわけだけど。
でも、何かが変わっていた気がする。
待ってたんだ。
まーちゃんみたいな人が私を救い出してくれること。
逃げてばっかりの弱虫な私の手を引いてくれる人を・・・
探してた。