恋の公倍数(受験生+塾講師)
「それ・・・もしかして俺の?」
立ち止まったまーちゃん。
振り向いたまーちゃんは私の手の2つのコロッケを見て、嬉しそうな顔をした。
「違うよ!!私が2つ食べんだよ!」
強がりを言う私にまーちゃんは・・・
「素直じゃね~な。お前は・・・ 遠慮なくいただきます」
まーちゃんは、私の手に口を近づけて、パクっと食べた。
まーちゃんの一口は大きくて、もう少しで手まで食べられそうだった。
食べてくれても良かったけど。
「まーちゃんの泥棒!!返せーーー!」
「サンキュ。腹減ってたんだよ」
まーちゃんは笑いながら、手を振った。
そして、まーちゃんの名前を呼ぶたくさんの生徒ひとりひとりに手を振りながらバスを降りた。