恋の公倍数(受験生+塾講師)
夕食後の勉強はかなりキツイ。
一気に眠気がやってきて、私も千夏もあくびばかりしていた。
塾長の話は10分ほど続く。
「この合宿が君達の未来を左右する。わかりますか?」
塾長の話にあくびをしていると、まーちゃんと目があった。
まーちゃんは笑いをこらえるような表情をして、舌を出した。
クラス別に部屋に分かれて、勉強が始まった。
必勝!と書かれた紙が貼られた部屋で、私は国語の問題を解き始めた。
佐藤先生が作った問題を必死で解いた。
すぐに答え合わせが行われ、間違えた問題に蛍光ペンで線を引く。
夜中の質問会で、間違えた問題を先生に質問する為らしい。
早く数学の勉強がしたい。
同じ部屋にまーちゃんがいれば、もっとやる気になるのに。
勉強中に携帯電話を触っていた子が、塾長に怒鳴られて、廊下に立たされた。
みんな、一瞬眠気が吹き飛んだ。
どうして勉強しなくちゃいけないのか、わからない。
どうして高校に行くのかもわからない。
きっとまーちゃんがいなかったら、私は勉強をしなかった。
勉強をする理由はわからないけど、私は勉強をする。
それは、まーちゃんの笑顔が見たいから。
ただそれだけ。