恋の公倍数(受験生+塾講師)
「千夏と比べると私って幸せだよね。少しでもまーちゃんと話せたから」
「そうだよ~!私、何日話してないだろう・・・池田と」
池田が特進クラスの担当になってから、千夏はものすごく勉強を頑張った。
でも、急に成績を伸ばすことなんて難しくて、上のクラスに上がることは出来なかった。
「あ!池田だ」
私は廊下の先に、池田を見つけた。
池田は、塾長と立ち話をしていた。
にこやかに話しているから、機嫌は良さそうだ。
私の中では、池田は機嫌の良い時と悪い時がはっきりしているって印象が強い。
千夏は、そこがクールでかっこいいって言ってるけど、私は顔色を見ながら話しかけるなんて辛くて嫌だ。
まーちゃんみたいに、いつでもひまわりみたいににこやかな人が好き。
まーちゃんって呼べば、どんなに忙しくても、笑顔で振り向いてくれる。
そういうまーちゃんだから、私は信じることができた。