恋の公倍数(受験生+塾講師)
塾の入口にたくさんの先生が立っていた。
まーちゃんの姿を見つけて、私は走り出した。
「美春―――!!!」
「まーちゃん!!コロッケコロッケ!!」
まーちゃんは私を抱き上げた。
「やったーーーー!!お前、合格したんだな!!すげーよ!」
「すごいよね。私、頑張ったよね!!」
合格報告をしに来た生徒がたくさんいた。
みんないい顔をしていた。
まーちゃんは、本当にコロッケを用意してくれていた。
「落ち着くまで教室で待ってて。教室でコロッケ食おうぜ!」
千夏は、池田先生に褒めてもらえたと涙を流していた。
「私、先帰るね~!あとは、ふたりで仲良く・・・夜、電話してよね!」
千夏は、私がまーちゃんに告白すると思っているらしい。
考えたこともあるけど、今の心境としては・・・告白するともしないとも断言できない。
多分言わない。
まーちゃんは、まーちゃんだから。
まーちゃんは優しいから困っちゃう。