恋の公倍数(受験生+塾講師)
「美春ちゃん、頭大丈夫?俺、こんなだよ?教師とか無理だろ!!」
そうだね、無理無理って言ったけど
本当は無理だとは思わない。
向いてるんじゃない?
もし、中学にまーちゃんみたいな先生がいれば、
私はもう少しマシだったかも知れない。
髪を染めたことをまーちゃんは怒ってくれた。
学校の先生は、何も言わない。
それはあきらめているから。
まーちゃんはあきらめない。
公倍数が苦手な私に、何度も何度も問題を出し、
同じ説明を繰り返す。
絵を書いて、体を使って、
必死に教えてくれる。
大学生なのに、
命かけてるような授業。
たかが、バイトなのに
私達生徒の親みたいに真剣になって
向き合ってくれる。