それでも君を愛してる。
いつもそうだった。
そんなに自分が憎いのだろうか。
兄は私を嫌っている。
同じ血が流れ、同じ家で暮らしている、たった一人の本当の家族なのに。
いや、家族だから尚更なのだろう。
母親は今から十五年前、陸の目の前で殺害された。実の父親の手によって。
どうしてそんな事になったのか、刑務所で父が首を吊った瞬間から、真相は闇に葬られた。
当時陸はまだ二歳。
雪月は一歳になるかならないかのほんの子供。
いや、子供とも言えない。
物心など、つくずっと前の事だった。