雪のメール

* * *

無事、自己紹介は終了した。
あぁあ・・・緊張して死んじゃうかと思った。

「頑張ったじゃん☆」

藤谷は笑って私を迎えてくれた。
私は感謝の気持ちを伝えたかった。

「藤谷のおかげだよ~そうじゃなかったら
もう緊張して何もしゃべれなかったし」
「は?俺なんもしてないけど?」
「はい?」
「ただ目ぇ合っただけだし、それから頑張るのは
ちえじゃん?だからお前の頑張りだよ」

藤谷がそっと笑みを浮かべる。
藤谷の笑顔は本当に見とれるくらい綺麗で
私は言葉を失ってしまった。
藤谷は強いなぁと思う。
励ましてくれたり、背中を押してくれたりするのに
彼は決まって「俺のおかげではない」って
「お前が頑張ったんだろ」って言ってくれる。

人は誰しも自分をよく見せたがる。
だから誰かの役に立てると
自分の存在は必要なんだって感じるものなんだ。
だけど藤谷は謙虚。
こんなにいい人なのに見栄っ張りじゃない。
・・・あたしとは全然違うんだな。
藤谷を見習いたくなった。

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