雪のメール

「なぁ走ってるの楽しい?」

物思いにふけっていると
藤谷が話しかけてきた。
うーんと考えて私は首を横にふる。

「あんまり・・・もともと運動
得意じゃないし・・・」
「楽しめばいいじゃん?」

私は顔を上げた。

・・・楽しめばいい?

こんなに下手なのに遅いのに
楽しんでもいいものなのかな。
私はある程度うまくない人じゃないと
楽しめないものだと思っている。

それは、失敗してもまた取り戻せるから。

私みたいな人は一回失敗したら
もう取り戻せない。
もう戻ってこない。
だから、気なんて抜けない。

笑うことなんて出来ない。

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