僕の空、私の場所。
第一章
1
それは、午後のことだった。
朝から降り続く雨はいちだんとその音を増し、窓から見えるどんよりとした空はますます重くなったかのようだった。
たったの四人しか居ないこの一室に定められた時をつげる鐘の音が鳴る。
会話もなく、雨の音を聞いているのは嫌いではない。
だが、それを遮る人工音は嫌いだ。
ずいぶんと長い間外を見つめていた緒峯 菖(オミネ アヤメ)は眉を寄せてスピーカーにめをやった。
「12時50分、か…」
壁にもたれ掛かって一心に携帯を扱っていた、赤坂絃人(アカサカ ゲント)が小さな画面から目を離す。
「…もう昼?俺、すっげー爆睡してた」
鐘の音で目が覚めた天井博晄(アマイ ヒロアキ)が身を起こしながら眠たそうに頭を掻いた。
「飯、食おうぜ。飯」
「そうだね。菖、食べよう?」
絃人の声にうなずき、読んでいた小説に栞をはさんで有苗悠紀(アリナエ ユウキ)は窓の近くに座っている菖に声をかける。
「…菖?」
「…うん。食べよっ!」
菖は出来るだけにこりと笑ってみせると悠紀は安心したように頷いた。
そんな悠紀を見て、少し胸をなで下ろす。
窓の外を見てみると相変わらず雲はのしかかるように空を覆い、雨は全く止みそうもなかった。
――…雨雲は好きになれないな…。
菖はぽつりと胸の奥でつぶやいた。
朝から降り続く雨はいちだんとその音を増し、窓から見えるどんよりとした空はますます重くなったかのようだった。
たったの四人しか居ないこの一室に定められた時をつげる鐘の音が鳴る。
会話もなく、雨の音を聞いているのは嫌いではない。
だが、それを遮る人工音は嫌いだ。
ずいぶんと長い間外を見つめていた緒峯 菖(オミネ アヤメ)は眉を寄せてスピーカーにめをやった。
「12時50分、か…」
壁にもたれ掛かって一心に携帯を扱っていた、赤坂絃人(アカサカ ゲント)が小さな画面から目を離す。
「…もう昼?俺、すっげー爆睡してた」
鐘の音で目が覚めた天井博晄(アマイ ヒロアキ)が身を起こしながら眠たそうに頭を掻いた。
「飯、食おうぜ。飯」
「そうだね。菖、食べよう?」
絃人の声にうなずき、読んでいた小説に栞をはさんで有苗悠紀(アリナエ ユウキ)は窓の近くに座っている菖に声をかける。
「…菖?」
「…うん。食べよっ!」
菖は出来るだけにこりと笑ってみせると悠紀は安心したように頷いた。
そんな悠紀を見て、少し胸をなで下ろす。
窓の外を見てみると相変わらず雲はのしかかるように空を覆い、雨は全く止みそうもなかった。
――…雨雲は好きになれないな…。
菖はぽつりと胸の奥でつぶやいた。