傷付け合うわたしたち
「ご、ごめんね!」
慌てて落ちた筆箱を拾った。
座ったままの有香ちゃんの足元に膝をついて、落ちて転がった鉛筆を拾う。
一通り拾い終わって、有香ちゃんのほうを見て言った。
「鉛筆の芯、折れてなかった。よかった」
有香ちゃんと目が合った。
「落としてごめんね?」
黙ったまま、ふわっと、有香ちゃんは笑った。
同時に、わたしの後ろから仲良しの女の子の一人であるカヨちゃんの声。
「有香ちゃん。ハナが謝ってんじゃん……「いいよ」くらい言ったら?」
とたんに有香ちゃんの顔が緊張のせいか固く、強張った。
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