傷付け合うわたしたち
「カヨちゃん、わたしが悪かったんだよ。ね、席に行こ?」
わたしは慌ててカヨちゃんの手を引いた。
あの時固く強張った有香ちゃんの顔を見て、わたしは思った。
――きっと有香ちゃんは、他の人に話しかけられるのがイヤなんだろうな――
そして、わたしは有香ちゃんと話すことを控えるようになった。
それからも有香ちゃんは変わらず一人でいた。
自分と周りの人の考えが「違うかもしれない」と思いもしなかったあの頃。
むしろ、「有香ちゃんのことを思って」いいことをしているような気持ちさえ、あったのかも知れない。