薔薇姫-バラヒメ-
ロゼの言葉を遮って、あたしは勢いよく席を立った。
「…メイ様?」
「メイ?」
ロゼとレオの心配したような声に、あたしは笑顔で答える。
「全ッ然、気にしてないから!」
本当に、気にしてない。
どうでもいいもん。
「あたし、寝不足だから寝てくるねっ!」
…って、何言ってんだろ。
昨日、9時に寝たくせにさ。
そんなあたしに、レオは無言だったし、ロゼはいつもの仏頂面だった。
返事がないことを肯定と受け取ったあたしは、「おやすみ!」と言って部屋を出た。
―――パタン
扉を閉めた瞬間、胸の奥が疼いた。
さっきから、あたしを締め付けるこの痛み…何なんだろう?
キュッと唇を結んだあたしは、自分の部屋へと足を進めた。