薔薇姫-バラヒメ-
扉を蹴破る程の勢いで、部屋に入ってきたのはマレッタ。
ポカンとするあたしに何も言わずに、マレッタはロゼの方を向いた。
「ロゼリナータ様、わたくし、メイ様とお話ししたいんですの」
「…わかりました。失礼致します」
一瞬、躊躇う素振りを見せながらも、ロゼは来たときと同じく、一礼をして部屋を後にした。
あたしとマレッタだけが、部屋に取り残される。
…き、気まずい。
「…あのー、話って?」
マレッタの鋭い視線に圧倒されながらも、あたしから話を切り出した。
「…メイさん、でしたわね?」
腕を組み、じっとあたしを見ながらそう言ったマレッタに、あたしは頷いた。
「単刀直入に言いますわ。…わたくしと、勝負なさい!」