薔薇姫-バラヒメ-
「ちょ、ちょっと待ってよ!あたし別に、レオの妻になりたいとか思ってない!」
マレッタの暴走を止めるべく、そう言ったはずなのに。
「嘘ですわ!」
…嘘よばわりされた。
「嘘じゃないの!あたしは、元の世界に帰りたいのっ!」
それでもまだ、マレッタは疑いの眼差しを向けてくる。
「…でもわたくし、勝負がしたいんですの」
…え?
あたしが首を傾げると、マレッタは「とにかく!」と声を張り上げた。
「今日はもう帰りますわ。明日こそ、勝負ですわよ!」
あたしに何か言わせる暇もなく、マレッタは嵐のごとく去っていった。
一人取り残されたあたしは、誰にともなく叫んだ。
「何なのよ―――――ッ!!」