薔薇姫-バラヒメ-
正しいことを、言ったつもりだった。
けど、マレッタは納得出来なかったみたいで、
「…その言葉は、あなたがレオ様に好かれているという自信からきているんですの?」
…と言って、よりキツい視線をあたしに向けた。
あー。
レオ、やっぱりマレッタと話し合いなんて無理だよ。
「そうじゃなくてっ…」
「メイさん、あなたは勘違いをしていますわ」
「え?」
勘違い?…何が?
「レオ様には、もう何百年も前から、想いを寄せている方がいらっしゃいますの」
あたしが目を見張ると、マレッタは少しうつむいた。
「…それは、わたくしではない。勿論、あなたでもないんですわ。メイさん」
あたしの名前を呼ぶのと同時に、マレッタは鋭い視線であたしを見上げた。