薔薇姫-バラヒメ-

…気づいたの。



「あたし…たぶん、レオが好き」



"たぶん"なのは、あたしが"恋"ってものをよくわかってないから。


でも。

この気持ちに名前をつけるとしたら、きっとそれ以外にない。


「だから…マレッタと結婚して欲しくない」


黙っているマレッタから、あたしは目を逸らさなかった。


「勝負、しよう」


勝ち負けとか、そんなんじゃなくて。

マレッタの気が済むなら、それでいい。


あたしが負けたって、きっと気持ちは変わらない。


例え、レオが誰を好きでも。



「…どうしてですの…?」


「え?」


「どうしてですの―――!?」


驚いたことに、マレッタが突然泣き崩れた。


わんわんと子供のように泣き叫ぶマレッタを見て、あたしは呆然とした。



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