薔薇姫-バラヒメ-
「だって…自分からレオの婚約者名乗ってたんでしょ!?」
あたしがそう言うと、マレッタは小さく頷いた。
「わたくし…レオ様とは小さい頃知り合ったんですの。その時お側にいたロゼリナータ様に一目惚れをしましたわ」
鼻を啜りながら、マレッタは虚ろな目をして続けた。
「けれど…ロゼリナータ様が女性は苦手だと知ったんですの。ですから、レオ様の婚約者と名乗れば、少しでもお近づきになれると思ったんですの」
瞳いっぱいに涙を溜め、頬を赤く染めるマレッタを、可愛いと思った。
…でも。
「マレッタ、それは間違ってると思う。ロゼに見て貰いたいなら、自分で何とかしなきゃ。レオを利用したらダメだよ」
恋愛初心者のあたしが、偉そうに言えることじゃない。
けど、間違ってないはず。