薔薇姫-バラヒメ-
「約束だよーっ!」
遠ざかっていくマレッタの背中に、あたしはそう叫んだ。
…多分、悪い子じゃない。
仲良くなれるといいな。
そう考えながら、あたしが部屋に戻ろうと後ろを振り返った、そのとき。
「よぉ」
「!?」
正面玄関から、レオが片手を軽く挙げて出て来た。
「マレッタ、帰ったのか」
「ううううんっ!」
しまった。
明らかに不自然な反応しちゃったじゃないっ!
内心パニック状態のあたしをよそに、レオは「で?」と訊ねてきた。
「…え、何っ?」
「どーにかなったのか?」
どーにか…。
うん、なったのかな?
「…た、たぶん?」
あたしが曖昧な返事を返すと、レオは苦笑しながら腕を組んだ。