薔薇姫-バラヒメ-
「…ったく、素直になればいいものの。話をややこしくしやがって」
「…何の話?」
レオの言葉にあたしは首を傾げた。
すると、レオは眉をひそめる。
「だーかーら、ロゼが好きなら、俺の婚約者なんか名乗るなって話!」
呆れたようにそう言われ、あたしは一瞬言葉を失った。
「―――あ、あんたマレッタの気持ち知ってたの!?」
やっとの思いでそう聞くと、レオは「もちろん」と、しれっと答えた。
「"ロゼリナータ様"だぜ?自分だけ他と違う風に呼んで、気ィ引きたかったんだろ」
確かに…みんな"ロゼ"って呼んでるよね。
長いし。
「…じゃあ、何で早くマレッタにそう言わなかったの?」
あたしは、ぶすっと頬を膨らませてそう訊いた。