薔薇姫-バラヒメ-

顔が赤くなるのを悟られないように、あたしは「そっか!」と言ってレオに背を向けた。


「それじゃ、部屋戻ろっかな!」


そのまま立ち去ろうとしたあたしの腕を、レオがつかむ。

驚いたあたしが振り返ると、レオは意地悪な笑みを見せた。


「安心した?」


「―――あ、安心って何が!?」


明らかに裏返るあたしの声。


「俺とマレッタの間に何もなくて」


対して、妙に艶っぽい声を出すレオ。


何だか悔しくなって、あたしは腕を振り払い、舌を出した。


「あたしには関係ないですっ!!」


「あっそ」


悪戯なその笑顔は、やっぱりムカつく。



…でも。

そんなレオも、好きになっちゃったんだよね。





この芽生えは、今後どうなる?





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