薔薇姫-バラヒメ-

幸運が…。


あたしがそのネックレスをじっと眺めていると、おばあさんは別のネックレスをあたしに渡した。


「こっちは、紅い玉…?」


「はい。紅い玉は貴族をなぞらえたもの。富が手に入る、といわれております」


富と幸運。


それだったらあたしは、幸運を選ぶ。



紅い玉のついたネックレスを棚に戻そうとすると、レオがあたしの手をつかんだ。


「え?」


「おばあさん、このネックレス2つ」


レオは、あたしの手から2種類のネックレスを取り上げると、おばあさんに渡した。


「ありがとうございます。5000フィナになります」


レオはポケットからお札を取り出し、おばあさんに渡した。


あたしは、慌ててレオの腕を引っ張る。



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