薔薇姫-バラヒメ-

「で、でも、あたし富なんて…」


上擦った声でそう言うと、ネックレスをつけ終えたのか、レオが離れた気配がした。


胸元のネックレスを握りしめながら振り返ると、レオが得意のニヤリ笑いを返す。


「その紅を、俺だと思えばいい。俺はこの蒼をメイだと思う」


「なッ………!!」


あまりに恥ずかしいセリフに、あたしの顔の温度が急上昇した。


「何バカなこと言ってんのよッ!!」


真っ赤な顔を見られまいと、あたしは顔を横に逸らして叫ぶ。


本当に、レオの言動は心臓に悪い。


「何照れてんだよ」


「照れてないッ!」


ニヤニヤしながらあたしの顔を覗き込むレオから逃れようと、あたしは必死に話題を探す。


「あた、あたし、お腹空いたっ!」


…思いついた話題が、コレ。



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